よくみられる副作用は?

併用治療であらわれることの多い副作用とその発現頻度を下記にあげました。それぞれの副作用の症状や対策については、該当する項目をクリックしてご覧ください。

  • 副作用の頻度下表に記載した副作用の頻度は、肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験の結果です。この試験にはパクリタキセルによる併用治療を受けた患者さんも含まれます。
副作用 あらわれる頻度
骨髄抑制などの血液障害 白血球減少症 8%
白血球数減少 11%
貧血 44%
血小板減少症 29%
血小板数減少 8%
手足のしびれ 末梢性ニューロパチー 20%
末梢性感覚ニューロパチー 11%
関節痛 13%
筋肉痛 12%
副作用 あらわれる頻度
吐き気 31%
嘔吐 13%
食欲減退 17%
疲労 19%
無力症 17%
下痢 22%
便秘 11%
脱毛 45%
そう痒症 10%
発疹 10%

よくみられる副作用

骨髄抑制などの血液障害

血液中には白血球(好中球)、赤血球、血小板などの成分が含まれ、これらは骨髄でつくられています。骨髄は抗がん剤による影響を受けやすく、治療中は骨髄抑制という副作用があらわれます。骨髄抑制などの血液障害は自分ではわかりにくいため、血液検査で定期的にチェックする必要があります。

白血球減少「感染症」

白血球(特に好中球)が減少すると、抵抗力が低下して、感染症にかかりやすくなったり、ときには全身の感染症を引き起こすことがあります。

このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
  • 38℃以上の発熱、さむけ
  • せき、のどの痛み
  • 排尿時の痛み、血尿・頻尿、排尿後も尿が残る感じ
  • など
ワンポイントアドバイス
  • 白血球減少は、自分ではわかりにくいため、担当の医師の指示に従い定期的に血液検査を受けましょう。
感染予防
  • イラスト
  • 手洗い・うがいをこまめに行いましょう。
  • からだや口の中を清潔に保ちましょう。
  • 栄養と睡眠をしっかりとり、規則正しい生活を心がけましょう。
  • 人混みはさけましょう。

貧血(ヘモグロビン減少)

赤血球中のヘモグロビンの量が少なくなることがあります。ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶはたらきをするため、少なくなると全身に酸素が十分いきわたらなくなり、貧血症状(めまいなど)を感じることがあります。

このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
  • 手足が冷たい
  • 疲労・倦怠感
  • 顔色が悪く青白い
  • 動悸・息切れ
  • めまい・立ちくらみ
ワンポイントアドバイス
  • 十分な休養・睡眠をとり、無理をしないようにしましょう。
  • ゆっくりとした動き(立ち上がる、起き上がる、歩く)をしましょう。
  • めまいを感じたらしゃがみ、そしてゆっくり歩きましょう。
  • 良質のたんぱく質、鉄分などをとりましょう。

血小板減少「出血傾向」

血小板の数が少なくなることがあります。血小板は出血を止めるはたらきがあるため、出血しやすくなったり、ちょっとしたキズでも出血が止まりにくくなったりします。

このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
  • 内出血(あざ)
  • 鼻血(鼻かみによる粘膜の出血)
  • 歯みがきなどによる口の中の出血
ワンポイントアドバイス
  • アルコールは血液を固まりにくくするので、控えましょう。
出血の予防
  • イラスト
  • 歯みがきや鼻かみはやさしく、排便時はりきみすぎないようにしましょう。
  • ゆったりして、しめつけない衣服を着ましょう。
  • ころんだり、ケガをしたりしないように注意しましょう。

よくみられる副作用

手足のしびれ(末梢神経障害)

手足のしびれ、手足のびりびり感、手足の刺すような痛み、感覚が鈍くなる、ボタンがかけづらいなどの症状があらわれることがあります。治療を続けていくと、症状が強くなることがあります。

対 策
  • アブラキサンが原因と診断された場合には、アブラキサンを減量したり、投与を休むなど、治療スケジュールを変更することがあります。
ワンポイントアドバイス
  • イラスト
  • 感覚が鈍くなるので、やけどや打撲に注意しましょう。
  • 足にしびれがあるときは、ころばないように注意し、階段の昇り降りにも気をつけましょう。
  • つらいときはまわりの人に手伝ってもらいましょう。

よくみられる副作用

関節や筋肉の痛み

関節の痛みを感じたり、肩や背中、腰や腕などの筋肉が痛くなることがあります。

対 策
  • 痛みの原因によって対処法が異なります。自己判断で痛み止めを服用せず、まずは担当の医師、看護師または薬剤師に連絡してください。
  • 痛みが強い場合には、痛み止めの薬の投与を検討します。
ワンポイントアドバイス
  • イラスト
  • 入浴や温湿布などで、痛みのある部分を温めましょう。
  • 血行を促進させるため、からだの中心に向かってマッサージをしましょう。
  • 無理をしない程度に、軽くからだを動かしましょう。

よくみられる副作用

吐き気・嘔吐

むかむかしたり、場合によっては吐いてしまうことがあります。

このような症状があらわれたら、担当の医師、看護師または薬剤師に相談しましょう。
  • 症状が強い
  • 症状が長く続いている
  • 食事や水分がほとんどとれない
ワンポイントアドバイス
  • 無理をせず、少量ずつ食べられるものをとりましょう。
  • 脱水症状にならないよう、水分をとりましょう。
吐き気の予防
  • においの強い料理はさけましょう。(揚げ物、煮物、煮魚など)
  • 料理は冷やしたり、さまして食べましょう。
  • 食事はゆっくり時間をかけ、少量ずつ食べられるものをとりましょう。
対 策
  • イラスト
  • 吐き気を抑える薬(制吐剤)の投与を検討しますので、担当の医師、看護師または薬剤師に相談しましょう。

よくみられる副作用

食欲不振

食欲が一時的に低下することがあります。食事や水分がとれなくなると脱水症状になりやすいので、注意が必要です。

このような症状があらわれたら、担当の医師、看護師または薬剤師に相談しましょう。
  • 症状が長く続いている
ワンポイントアドバイス
  • 食べられるもの、好きなものを、少しずつでも食べるようにしましょう。
  • 食事の量が減ると水分の摂取量が減り、脱水症状になったり、体内の電解質のバランスが崩れてしまいます。経口補水液などで、水分と電解質を補給しましょう。

よくみられる副作用

疲労(無力症)

疲れやすい、だるい、からだが重いといった症状があらわれます。治療が直接影響している場合もあれば、特に注意が必要な副作用の一症状としてあらわれることもあります。下記のような症状をともなう場合は注意が必要です。

このような症状をともなう場合は、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
  • 発熱
  • 意識がうすれる
  • 口やのどのかわき
  • 白眼や皮膚が黄色くなる(黄疸)
  • 胸の痛み
  • 食事の量にかかわらない体重の増減
  • 呼吸困難

よくみられる副作用

下痢

腸の粘膜が抗がん剤の成分により傷害を受け、下痢が起こることがあります。下痢が続くと脱水症状になりやすいため、脱水症状の予防を心がけてください。

このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
  • 1日の排便回数がふだんよりも4回以上増加
  • 激しい下痢
  • 下痢が長く続く
ワンポイントアドバイス
  • ふだんの便通の状態を確認しておきましょう。
  • 下痢の原因によって治療法が異なるため、下痢が起きたときの対応については、必ず担当の医師にご相談ください。自己判断による下痢止めの服用は避けてください。
脱水症状の予防
  • イラスト
  • 水分をこまめにとりましょう。
  • 経口補水液などで電解質を補給しましょう。
  • 消化のよいもの(おかゆ、うどんなど)、カリウムの多い食品(バナナなど)をとりましょう。
  • *下痢によって電解質(ナトリウム・カリウム)が水分と一緒に排泄されてしまいます。

よくみられる副作用

便秘

アブラキサンによる治療のほか、吐き気止めや痛み止めの薬の副作用、運動不足、食欲不振による水分不足などが原因で便秘になることがあります。重症化すると、腸閉塞を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

ワンポイントアドバイス
  • ふだんの便通の状態をチェックしておきましょう。
  • 水分をこまめにとり、食物繊維の多い食事をとりましょう。
  • 軽い運動を心がけましょう。
  • 便秘が続くときはがまんせず、担当の医師、看護師または薬剤師に相談してください。
  • *腸内の食べ物や水分の流れが悪化して便やガスが出なくなり、激しい腹痛や嘔吐、おなかがはる感じなどがあらわれます。

よくみられる副作用

脱毛

薬の投与開始から3週間後ぐらいから、髪の毛や体毛が抜け始めます。治療が終了すると髪の毛はまた生え始め、1年程度でほぼ回復します。治療前の髪質と異なる場合がありますが、やがて以前の髪質に戻るといわれています。

ワンポイントアドバイス
  • 帽子やウィッグ(かつら)、スカーフやバンダナを活用しましょう。
  • あらかじめ短めの髪型にしておくと、抜け毛が気になりにくくなります。
  • シャンプーは刺激の少ないものでやさしく洗いましょう。
  • ブラシやくしは、頭皮にやさしいものを選びましょう。

よくみられる副作用

そう よう 症(発疹)

皮膚が乾燥してかゆみ(そう痒)が生じることがあります。また、小さな赤い発疹が出る場合もあります。

対 策
  • 症状に応じて、保湿剤やステロイドの塗り薬などの使用を検討します。
皮膚症状の悪化の予防
  • イラスト
  • 日ごろから肌を清潔に保ち、保湿剤を使って皮膚の乾燥を防ぎましょう。
  • 紫外線やけが・虫刺されなどの傷は皮膚に負担をかけるため、なるべく避けるようにしましょう。