ティーエスワンによる胃・術後補助化学療法を受けられる方へ

胃がんとは

胃のはたらき

胃は胃袋ともいわれ、食物をしばらくの間とどめ、胃液とまぜて消化し、適量ずつ十二指腸へ送り出すはたらきをしています。

はたらき

  • 噴門部(ふんもんぶ):食道への食物の逆流を防ぐ
  • 胃底部(いていぶ)、胃体部(いたいぶ):胃酸や内因子を分泌
  • 幽門前庭部(ゆうもんぜんていぶ):食物を送り出すポンプの役割
  • 内因子:ビタミンB12が腸で吸収されるために必要な糖タンパク質。
  • 胃のはたらきの説明図

胃がんとは?

胃がんは、胃壁の最も内側にある粘膜細胞が、何らかの原因で異常な細胞になり、無秩序に増殖を繰り返すようになってできるものです。

粘膜にできたがんは徐々に胃壁の奥へと進みます:

①がんが粘膜内にとどまっている(粘膜と粘膜下層)

②がんが筋層あるいは漿膜(しょうまく)まで進んでいるが、胃の表面には出ていない

③がんが胃の表面に出てきている

④がんが胃の表面に出て、大腸や膵臓など他の臓器に広がっている

  • 胃がんの説明図

胃がんの詳しい進み方については「早期胃がんと進行胃がん」~「病期(ステージ)」をご参照ください。

胃がんの症状

胃がんに特徴的な症状があるわけではありません。
胃の痛みや胸やけが続くときは、胃や食道、十二指腸などに何らかの異常がおきているサインと考えられますので、胃の検査を受けるようにしましょう。

検査から診断までの流れ

胃がんが疑われる場合には、胃の内視鏡検査と病理組織検査を行い、その結果から胃がんと確定診断されます。

  • 確定診断までの流れ説明図

さらに、がんの広がりや転移などを調べるためにX線、腹部超音波、CTなどの検査を行います。その結果から治療方針がたてられます。

  • 治療方針までの流れ説明図

検査については「胃がんのおもな検査」をご参照ください。
胃がんの検査・診断・治療の流れについては「胃がんの治療法」をご参照ください。

胃がんのおもな検査

胃の検診の一般的なものは、「胃X線検査」、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」です。

血液検査

ペプシノゲン検査(胃粘膜の老化度)、ヘリコバクターピロリ抗体検査を行います。また、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9など)の異常も確認します。

  • CEA(癌胎児性抗原(がんたいじせいこうげん)、carcinoembryonic antigen)
    CA19-9(carbohydrate antigen 19-9)

胃X線検査

バリウム(造影剤)と発泡剤(胃を膨らませる薬)を飲み、X線(レントゲン)を用いて胃の中の粘膜を観察する検査です。検査当日は朝食が食べられないなど、検査を受ける際の注意事項があります。

胃内視鏡検査(いないしきょうけんさ)

胃の中を内視鏡で直接観察する検査です。がんが疑われる場合には、胃の組織を採取し、顕微鏡を使ってがん細胞の有無を調べる病理組織検査を行います。

超音波検査(ちょうおんぱけんさ)

超音波を利用して胃の状態を観察します。負担の少ない手軽な検査です。

CT検査(コンピュータ断層撮影(だんそうさつえい)

X線(レントゲン)を用いて体の中を連続撮影し、コンピュータで身体断面の画像からがんの状態、周辺の臓器への広がり、転移の有無を調べます。通常は造影剤を使い撮影しますが、ヨードアレルギーのある人は医師に申し出てください。

  • 造影剤:CTやMRIなどの画像検査の際に、通常の撮影では見えにくい部分を見やすくするために注射や内服で使用する薬剤です。
    いくつかの種類がありますが、体質によっては強いアレルギー反応が起こることがあるため注意も必要です。

MRI検査(磁気共鳴撮影(じききょうめいさつえい)

強い磁力を利用してCTと同じように連続撮影する検査です。

EUS検査(超音波内視鏡検査(ちょうおんぱないしきょうけんさ)

超音波装置のついた内視鏡を用いて、胃病変の粘膜下の状態や胃壁そのものや胃壁の外の構造を調べる検査です。通常の超音波検査より詳しく調べられます。

PET検査(陽電子放射断層撮影(ようでんしほうしゃだんそうさつえい)

がん細胞はブドウ糖をたくさん消費します。
ブドウ糖に近い成分を体の中に注射し、しばらくしてから全身をPETで撮影します。ブドウ糖が多く集まるところがわかり、がんを発見できます。

注腸検査(ちゅうちょうけんさ)

お尻からバリウムと空気を注入し、大腸の形をX線写真で確認する検査です。胃のすぐ近くを通っている大腸にがんが広がっていないか、腹膜転移が生じていないかなどを調べます。

早期胃がんと進行胃がん

胃がんはがんの深さが粘膜下層までのものを「早期胃がん」、粘膜下層をこえ筋層より深くおよんだものを「進行胃がん」といいます。

  • 早期胃がんと進行胃がんの説明図

英字略語
粘膜(M):Mucosa、
粘膜下層(SM):Submucosa、
筋層(MP):Tunica muscularis propria、
漿膜下層(SS):Subserosa、
漿膜露出(ろしゅつ)(SE):Serosa exposed、
他臓器浸潤(SI):Serosa infiltrating

胃がんの広がり方

胃の内側の表面にある粘膜に発生したがん細胞が粘膜層から粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜ならびに周りの臓器に直接広がっていくことを浸潤といいます。また、がんが発生したところから離れたところに飛び火し、広がっていくことを転移といいます。転移にはリンパ行性(こうせい)転移、血行性(けっこうせい)転移、播種性(はしゅせい)転移の3つがあります。

リンパ行性転移

がんがリンパの流れにのってリンパ節に流れ着いて、がんが増殖します。

血行性転移

がんが血液の流れにのって他の臓器に移動し、がんが増殖します。
胃から流れた血液は肝臓に流れ込むため、胃がんで転移しやすい場所は肝臓です。

播種性転移

がんが深くなり漿膜を突き破ると、おなかの臓器を覆っている腹膜にばらまかれるようにがんが増殖し、やがてがん性腹膜炎を生じます。

病期(ステージ)

胃がんの進み具合は病期(ステージ)であらわされます。
ステージは、深さ(T:壁深達度(へきしんたつど))とリンパ節転移の程度(N)によって分類されます。
胃がんは、臨床分類ではⅠからⅣBまでの6段階に、病理分類ではⅠAからⅣまでの8段階に分けられます。
術後補助化学療法は病理分類にもとづいて選択されます。

臨床分類 画像診断、審査腹腔鏡または開腹所見による総合診断

他臓器への転移 M0(なし) M1(あり)
リンパ節転移 N0(なし) N(+)(あり) Any N



T1/T2
(M、SM/MP)
ⅡA ⅣB
T3/T4a
(SS/SE)
ⅡB
T4b(SI) ⅣA

壁深達度をあらわす表記(T)の接頭にcを付けて記載される(例:cT1a など)

  • 壁深達度について
    M:胃の粘膜に限局している
    SM:胃の粘膜下層に達している
    MP:胃の筋層に達している
    SS:胃の漿膜下層までに達している
    SE:漿膜表面もしくは漿膜を越えて胃の表面に出ている
    SI:胃の表面に出たうえに、他の臓器にもがんが続いている

病理分類 胃切除後の病理所見による診断

他臓器への転移 M0(なし) M1(あり)
リンパ節転移 N0
(なし)
N1
(1~2個)
N2
(3~6個)
N3a
(7~15個)

N3b
(16個以上)

Any N




T1a/T1b
(M/SM)
ⅠA ⅠB ⅡA ⅡB ⅢB
T2(MP) ⅠB ⅡA ⅡB ⅢA ⅢB
T3(SS) ⅡA ⅡB ⅢA ⅢB ⅢC
T4a(SE) ⅡB ⅢA ⅢA ⅢB ⅢC
T4b(SI) ⅢA ⅢB ⅢB ⅢC ⅢC

壁深達度をあらわす表記(T)の接頭にpを付けて記載される(例:pT1aなど)

「胃癌治療ガイドライン 医師用 2021年7月改訂【第6版】」(日本胃癌学会/編)、金原出版、2021より改変して転載