ティーエスワン/イリノテカン療法

治療薬について

ティーエスワン(TS-1)という薬

    • ティーエスワン(TS-1)は、フルオロウラシル(5-FU(ファイブエフユー)と略されます)という「がん」を治療する薬の効果を高め、副作用を軽減するために開発された抗がん剤です。
    • 胃がん、大腸がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、乳がん、膵がん、胆道がんの治療に使われます。
    • 次の3成分が配合されている薬です。

テガフール

体内でフルオロウラシルに変換されてがん細胞を攻撃します。

ギメラシル

フルオロウラシルの分解を抑えて効果を持続させます。
テガフールと同じ種類の薬にも作用します。

オテラシルカリウム

下痢などの消化器系の副作用を軽減させます。

  • 飲み薬です(必ず休薬期間を設けます)。

ティーエスワンは、朝食後及び夕食後の1日2回経口投与します。

ティーエスワンにはOD錠(口腔内崩壊錠)、顆粒剤、カプセル剤があります。

ティーエスワン配合OD錠 T20
(口腔内崩壊錠)
ティーエスワン配合OD錠 T25
(口腔内崩壊錠)
ティーエスワン配合顆粒 T20ティーエスワン配合顆粒 T25
ティーエスワン配合カプセル T20ティーエスワン配合カプセル T25

コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用します。
OD錠(口腔内崩壊錠)は、お口の中で溶かして水なしで飲むこともできます。
水なしで飲むときは、身体を起こした姿勢で飲んでください。

  • 服用についての説明図

決められた量や服用する期間、休薬する期間を守ってください。
薬の量や服用期間、休薬期間は、担当の医師があなたの症状から最も適切と判断して決めています。自分の判断で変更しないでください。

服用するときの注意

  • 1日2回、朝食後と夕食後に食後30分を目安に服用します。
    空腹時の服用はさけてください。
  • 飲み忘れた場合や、飲み忘れたか不明の場合は、その分を服用しないでください。
  • 次に飲む時は、1回分だけです。
    2回分を一度に飲まないでください(ティーエスワンの副作用が強くあらわれることがあります)。
  • 間違えて多く飲んでしまった場合は、すぐに担当の医師または薬剤師に連絡してください。

イリノテカン(CPT-11)という薬

  • 中国原産の喜樹(キジュ)という植物の抽出成分から作られた注射の抗がん剤です。
  • 日本をはじめ、世界中で広く使用されています。
  • 肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、大腸がん、乳がん、皮膚がん、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、膵がんなどの治療に使われます。
  • 点滴で投与します。

点滴注射を受けるときの注意

  • 薬が血管から漏れないよう、点滴中は安静にしていてください。
  • 点滴の途中で注射部位の痛みや腫れなどの違和感を感じたときは、がまんしないで担当の医師や看護師にお伝えください。

このような症状があらわれたら医師や看護師、薬剤師に連絡を!

  • 注射部位の痛みや腫れ
  • 熱感やかゆみ
  • 吐き気

UGT1A1(ユージーティーワンエーワン)遺伝子多型検査

イリノテカンは体内で、SN-38(エスエヌ-38)という「がん」を叩く力がより強い活性代謝物に変換されます。この活性代謝物はやがて肝臓の酵素で無毒化されて便中に排泄されますが、無毒化する酵素(UGT1A1と呼ばれる)の働きが弱いと副作用が強くあらわれることがあります。

この酵素の働きの強さを計ることで、イリノテカンをどのくらい使うかの判断にします。
この検査は必ず行わなければならないものではありませんが、患者さんの状態によっては強く勧められる場合があります。

  • UGT1A1(UDP-グルクロン酸転移酵素)は、SN-38にグルクロン酸をつけて無毒化する働きがあります。
  • イリノテカンについての説明図