ニュースリリース

2025年07月08日
大鵬薬品工業株式会社

デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬(TAS-205)国内第III相臨床試験で主要評価項目を達成せず

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之、以下「大鵬薬品」)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下「DMD」)患者を対象としたTAS-205(以下「本剤」)の無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験及び非盲検継続投与試験(第III相)(REACH-DMD、以下「本試験」)において、歩行可能コホートでの主要評価項目である投与52週時の床からの立ち上がり時間のベースラインからの変化量に有意な差が認められなかったことをお知らせします。

本試験の歩行可能コホートは、5歳以上の男性DMD患者を対象としたプラセボ対照多施設共同二重盲検比較試験として日本で実施しました。本剤あるいはプラセボを52週間、1日2回連日経口投与し、本剤の有効性を検証することを目的としました。全国26施設の医療機関に参加いただき、2020年11月から2023年12月の間に82例が登録されました。本試験の詳細な解析結果は、今後しかるべき学術集会等で発表する予定です。
本試験(NCT04587908/jRCT2041200055)の詳細は、以下をご参照ください。
ClinicalTrials.gov / 臨床研究実施計画・研究概要公開システム

本剤の開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による平成31年度「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE*):第4回公募」において、「課題名:患者レジストリを活用した日本発の新規作用機序を有する革新的デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬の開発」として2019年12月に採択されました。
*CiCLE:Cyclic Innovation for Clinical Empowerment

TAS-205について

本剤(国際一般名:pizuglanstat)は、大鵬薬品が創製した選択的造血器型プロスタグランジンD合成酵素(HPGDS*)阻害剤です。DMD患者の筋肉で炎症反応を亢進させているHPGDSを阻害することでDMD患者の運動機能の低下を抑制する、ジストロフィン遺伝子変異のタイプに制限されないDMD治療薬として開発中です。
*HPGDS:Hematopoietic prostaglandin D synthase

CiCLE事業について

産学官連携により、我が国の力を結集し、医療現場ニーズに的確に対応する研究開発の実施や創薬等の実用化の加速化等が抜本的に革新される基盤(人材を含む)の形成、医療研究開発分野でのオープンイノベーション・ベンチャー育成が強力に促進される環境の創出を推進することを目的とする国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の事業です。
CiCLE事業の詳細は、以下をご参照ください。
医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE:Cyclic Innovation for Clinical Empowerment) | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)について

DMDは、筋肉細胞の骨組みを支えるジストロフィンタンパク質の遺伝子変異が原因で、男児に発症する頻度の高い遺伝性疾患です。正常なジストロフィンタンパク質が産生されなくなることで筋力が低下する難治性の重篤な疾患です。有病率は人口10万人あたり1.9~3.4人とされ1、日本には3000人から4000人の患者数が推定されています。現在、日本で承認されている医薬品として経口ステロイド剤とビルトラルセンがあり、またデランジストロゲン モキセパルボベクが条件及び期限付き承認されていますが、新たな治療薬の開発が期待されています。

  1. 埜中征哉. 臨床のための筋病理. 第4版. 日本医事新報社; 2011: 46-59.

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