- 2025年12月13日
- 大鵬薬品工業株式会社
抗TIGIT抗体domvanalimabと抗PD-1抗体zimberelimab併用の第III相STAR-221試験結果について
大鵬薬品工業株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之、以下「大鵬薬品」)は、Arcus Biosciences, Inc. (アーカス・バイオサイエンシズ、本社:米国カリフォルニア州、Chief Executive Officer:Terry Rosen、以下「Arcus社」)およびGilead Sciences, Inc. (ギリアド・サイエンシズ、本社:米国カリフォルニア州、Chairman and Chief Executive Officer:Daniel O’Day、以下「Gilead社」)と実施しているHER2陰性進行胃がんおよび食道がんの1次治療として、抗TIGIT抗体domvanalimab (開発コード:AB154)と抗PD-1抗体zimberelimab (開発コード:AB122)および化学療法併用群と、ニボルマブと化学療法併用群を比較評価する第III相STAR-221試験について、有効性が認められなかったことによる中止を発表しました。この決定は、主要評価項目である全生存期間(OS)について、事象発生に基づき実施される、事前に定められた中間解析データに基づく、独立データモニタリング委員会(IDMC)による勧告を受けて行われたものです。
中間解析において、domvanalimabとzimberelimabおよび化学療法併用群では標準治療であるニボルマブと化学療法併用群に対し、OSの改善は認められませんでした。domvanalimabとzimberelimabおよび化学療法併用群の安全性プロファイルは、ニボルマブと化学療法併用群と同等であり、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。
3者は、STAR-221試験に参加いただいている患者さんへの今後の適切な対応について治験責任医師との協議を進めます。現在、今回の結果について理解を深めるため、詳細な解析を実施しています。
domvanalimabおよびzimberelimabは開発中の化合物です。これらの化合物の併用療法は世界のいずれの規制当局からも、またいかなる用途についても承認を取得しておらず、安全性および有効性は確立されていません。
胃および食道がんについて
WHO(World Health Organization)によると、胃がんと食道がんは、世界でそれぞれがんによる死亡原因の第5位と第7位を占めており、年間110万件以上のがん死亡に関与しています。患者さんの3分の1以上は進行期で診断されており、その場合の5年生存率はわずか5-7%です1,2。
STAR-221試験について
STAR-221試験は、HER2陰性の局所進行切除不能または転移性の胃腺がん、胃食道接合部腺がん、食道腺がんに対する1次治療として、domvanalimabとzimberelimabおよび化学療法併用群と、ニボルマブと化学療法併用群を比較評価する国際共同非盲検無作為化第III相試験です。本試験では、約30カ国から1,040人の患者さんが登録され、参加者は2つの群に1:1の割合でランダムに割り付けられました。
本試験の主要評価項目はOSです。主な副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)と患者報告アウトカム(PROs)、その他の副次評価項目は、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)および安全性です。
大鵬薬品は、日本、中国を除くアジアにおけるdomvanalimabとzimberelimabの開発・販売権を有しており、申請用試験であるSTAR-221試験には日本も参加しています。
STAR-221試験の詳細情報はClinicalTrials.gov: NCT05568095でご確認いただけます。
domvanalimabについて
domvanalimabは、免疫細胞上のチェックポイント受容体TIGIT(T-cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)に結合し、免疫抑制シグナルを阻害するよう設計されたFcサイレント型モノクローナル抗体です。Fcサイレント設計により末梢の制御性T細胞を減少させることなく、TIGIT結合を阻害することで抑制性シグナルを解除し、免疫細胞の活性化を促進し,抗腫瘍免疫応答の増強が期待されています。
抗腫瘍活性においてそれぞれ異なる補完的な役割を果たすチェックポイント受容体であるTIGITとprogrammed cell death protein-1(PD-1)の同時阻害は、免疫細胞の活性を大きく増強すると考えられています。
zimberelimabについて
zimberelimabは、PD-1に結合し、T細胞の抗腫瘍活性を回復させることを目的とした抗PD-1モノクローナル抗体です。zimberelimabは、米国および世界各国で他の免疫療法との併用による治療選択肢として、複数の臨床試験が進行中です。
大鵬薬品とArcus社の契約について
2017年に大鵬薬品とArcus社が締結したオプションとライセンスに関する契約に基づき、大鵬薬品は日本とアジア(中国と一部地域を除く)において、今まで5プログラム*を独占的に開発・販売する権利を得ました。
*etrumadenant (アデノシン受容体阻害剤)(2018年)、zimberelimab (抗PD-1抗体)(2019年)、domvanalimab (抗TIGIT抗体)(2021年)、quemliclustat (CD73阻害剤)(2024年)、casdatifan (HIF-2α阻害剤)(2025年)
Arcus社について
Arcus社は、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患の患者さんのための差別化された分子薬や併用療法の臨床開発を進めているグローバルなバイオ製薬企業です。世界中の業界パートナー、患者さん、医師とのパートナーシップのもと、Arcus社は、明確な特徴を持つ生物学や経路に対するファーストもしくはベストインクラスの医薬品の開発を促進し、がん患者さんがより長く生きることが可能になるような、生物学に基づく新たな併用療法を研究しています。2015年に設立された同社は、これまでに、淡明細胞腎臓がんを対象としたHIF-2α阻害剤casdatifan、膵臓がんを対象とした低分子CD73阻害剤quemliclustatなど複数の治験薬を臨床試験へと進めています。Arcus社の臨床および前臨床プログラムの詳細については、www.arcusbio.com をご覧ください。
Gilead社について
Gilead社は、すべての人びとにとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。同社は、HIV、ウイルス性肝炎、COVID-19、がん、炎症などの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
1. https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/6-oesophagus-fact-sheet.pdf (Last accessed: December 2025.)
2. https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/cancers/7-stomach-fact-sheet.pdf (Last accessed: December 2025.)
ニュースリリースに記載されている内容は、報道発表日現在の情報です。
当社のニュースリリースは、報道関係者への情報提供を目的としています。医療用医薬品や開発品に関する情報を含む場合がありますが、これらはプロモーション、広告、医療上のアドバイスを目的としたものではありません。